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谷本俊介 立川・府中AFC前監督、Fリーグの限界を語る【山下浩正のフットサル!フットサル!】

谷本俊介監督 退任およびテクニカルダイレクター就任のお知らせ」が、立川・府中アスレティックFCのホームページに掲載されたのは2月8日、フウガドールすみだとのFリーグ最終戦(第33節)の2日前のことだった。Fリーグを3位、翌3月に開催された全日本選手権を準優勝という上々の成績で終えただけに惜しまれつつの退任となったが、その谷本前監督に退任直後に話を聞く機会を得た。
(PHOTO・立川・府中アスレティックFC、TEXT・山下浩正)

 

▼純粋にフットサルのことだけを考えてる時間が多い
12チームで争うFリーグディビジョン1(以下、F1)で、完全プロチームは名古屋オーシャンズのみだ。
他の11チーム(Fリーグ選抜を含む)は一部のプロ契約選手を除いてほとんどの選手が仕事をしながらプレーしている、いわゆるアマチュアチームだ。この中で、シュライカー大阪、バサジィ大分が「プロフットサルチーム」を自称しているが、名古屋との差はまだ埋めきれていない。名古屋とそれ以外と、どのくらい違うのか。そこから谷本前監督に語ってもらおう。

Fリーグを名古屋を前提にふかんすると、名古屋の強さを痛感せざるを得ない。そこはほかのチームとどこがどう違うのか。名古屋の強さの根幹について、どんな実感を持って戦ってきたのだろうか。

「(名古屋の選手とは)まずは、メンタリティーの差はありますよね。彼らは純粋にフットサルのことだけを考えてる時間が多いですし、またのその義務・責任としてお金をもらっている、その責任というのは勝つことに注力されてる、というような部分はやっぱり、明らかな差ですね」

よく言われることだが、例えば名古屋と厳しい試合をした翌日も、多くのチームのほとんどの選手は朝から仕事に行かなければならない現実がある。この現実は厳しい。環境、条件がもたらす行動には大きな差があると言わなければならない。その結果、「練習は、僕たちよりもハードにやれるかもしれない」と谷本は言う。

肉体鍛練を含む練習と試合に専念することができる名古屋には、他チームには難しい、2部練という部分もある。シーズンインに備えて特別なスケジュールでトレーニングをこなすケースもあるが、それは特定の時期でのこと。普段から午前・午後の2部練を完璧な形でこなしているのは名古屋だけだ。

「環境というか、人じゃない部分のところで、当然、仕事はせずフットサルに注力できますし、メンタリティーからひもづいて、勝つための、フットサル以外の過ごし方も当然、ご飯食べるときも、休むときも、遊びに行くときも、もしかしたら100%で遊んでないかもしれない。明日試合があるから遊びもこのぐらいなのかな、みたいな」

「まずはそのメンタリティーですよね。メンタリティーがあって、で、その他の部分として当然いい練習環境がある。ま、同じ舞台で戦う身として、現場レベルだけで感じられることといったらそういう選手のメンタリティーと選手の技術力とか、そういうものは当然ありますけどね」

選手の技術力の差も当然大きい。

「メンバーには日本代表クラスが(何人も)いる。外国人助っ人も、S級というか、当然高いレベルの選手たちがいるっていうところの差が、現場レベルで感じることですね」

 

▼弱者でも勝てる策を練って挑まなければならない
かといって、黙って負けを受け入れるわけにはいかない。

「そうです、どうにか対抗しなきゃいけない。そこで、選手みんなが必死に守って、やってきた中で、2018/2019シーズンの第3クール(第23~33節)、自分たちの総失点を数えたら『20』で、僕ら、一番失点数の少なチームだったんです。名古屋でもなく、大阪でもなく、我々のチームだったんです」

立川・府中はもともと、守備をベースにした固いチームだ。

「それは、昔から変わらない伝統だと思ってるんです。それが(全日本選手権の決勝で直接対決し)ああいう結果(0-6)になってしまった。というのは、安定的に結果を残す部分で、資金力だったり、確実性のある根拠として実力を兼ね備えたチーム力が結果を残せるんじゃないかなっていうふうには思いますよね。確率論でいうとですね」

「その大舞台っていう部分で、名古屋さん、大阪さんは僕らよりも決勝の舞台に上がっている回数っていうのが間違いなく多いですし、その両クラブがタイトルを獲ってるクラブっていうことですね」

「オーシャンカップや全日本選手権といったカップ戦は、我々だったり、町田さんであったり、浦安さんもですね、そういうクラブが獲ってますけど、こと、リーグに関していうと、その2クラブが当然獲っているわけですから。リーグっていうのはやっぱり、年間の積み重ねで、まぐれでタイトルを獲得するのはなかなか難しい大会だと思いますので、そういう部分でそれを成し得ている2クラブとの格差は、やっぱり、そういう部分で見えたんではないかなっていうふうに思います」

「ただ、それを、現場レベルではいい訳にしたくない」

という前提のもとに、前監督はこうも言った。

「できることをうまく組み合わせて、知恵を絞って、弱者でも勝てるような戦術だとか戦略っていうのを練って、挑まなければならない」

それがアマチュアチームの現実だ。

 

▼白旗を振るわけじゃないが勝てない相手だなって
では、谷本は、愛着のある監督という仕事を、なぜ辞めたのか。

「続けようと思えば僕の意思次第で続けることができた」

という状況にもかかわらず。

名古屋オーシャンズを頂点とする完全プロチームとそうでないチームとの格差が大きい中で、“飽きた”からということか。

「“飽きた”っていうと語弊が出てくるんで。まあ、頭打ちになったっていうか、その、今の環境下で勝ちを目指すっていう部分については限界が見えると。同時にやっぱり、ある種その、どうあがいても、どう頑張っても、白旗を振るわけじゃないですけど、勝てない相手だなっていうふうに、ちょっと虚しさは感じましたね」

ギョッとするほど率直な言葉が前監督の口をついて出た。

「自分の中では、6年間の集大成として最高のチームをつくり上げたっていう自信があり自負がある中での真っ向勝負、でしたけど、一応、相手も当然リスペクトした中で、これは勝てるんじゃないのかって確信して向かっていった中、ま、(全日本選手権)決勝戦で0-6ですからね」

名古屋という完全プロチームが唯一存在していて、そのチームを頂点とするフットカル界の力関係は、ほかのチームの努力といったレベルで覆せることではない。この業界の、覆すことのできない力関係に挑むことに「限界を感じた」という。

この思いは僕も共有している。
バルサとレアルを例に出すのは突飛すぎるが、要するに、そういうことだ。
完全に類似する規模・体制のプロチームがFリーグにあれば競争は激化するだろう。
その日が待ち遠しい。

こうして6年間勤めてきた監督の座を退任し、男女7つの競技カテゴリーの統括責任者、テクニカルディレクターに就任した谷本の初仕事は自らの後任を務める新監督の選任だった。
その新監督、山田 マルコス 勇慈のWEBでの就任のあいさつが、谷本の人柄をよく語っている。
一部を掲載させていただく。

 

「『本当に立川・府中アスレティックの監督をできるのか?』
クラブからこの話をもらったとき、私の最初の答えは「いいえ」と言うことでした。
しかし、このオファーをしてくれた人の顔を見てから少しずつ気持ちが変わりました。
彼はとても若くしてこのクラブのトップチームの監督に就き、まだ指導者としての経験もなかった中で、たくさんの勇気と夢の力をもってこのチャレンジを受け、成功しました。
そしてどんなプレッシャーにも、折れずに彼はあらゆる困難に耐えました。
私はこれまで多くの指導者と出会い、影響を受けてきました。
その経験のひとつひとつが指導者としての今の私の中で生きています。
その中には私の友人である谷本俊介の「献身」と「強い意志」がきっと存在します」
(来シーズンの監督に関するお知らせ)

 

「現時点での環境下で、わたしが監督として現場での挑戦は限界までやりきったので、次はこれまで二人三脚で一緒に走ってきたマルコスに監督のバトンを託しました」

「そしてわたし自身は監督からテクニカルダイレクターに役割を変えて、育成面と経営面からクラブを強化し、Fリーグで優勝するための新しい挑戦を始めます!!」

谷本はそして最後にこうも言い切った。

「弱者の戦いから強者の戦いに転じ、そして負け戦(いくさ)を勝ち戦に変えていけるときが来たら、また監督として再挑戦をしたいですね!!」

Fリーグのプロ化が進み、立川・府中も含め、複数の完全プロチームが誕生したとき、もう一度、「谷本監督」の指揮をとる姿を見てみたい。

 

山下浩正

♪とっこちゅー、とっこちゅー、我らが母校ぉー♪の埼玉県・所沢中~川越工の6年間サッカー部に籍を置く。C&W音楽に夢中の大学時代を挟んで社会人で再びサッカーを楽しむ。サラリーマン時代に培った雑誌編集経験を生かしてフットサル専門誌を2000年に創刊。2012年から足場をWEBに移し現在に至る。1944年生まれの戦中派。フットサルが日に日に下手になり夜の公園でコソ練に励んでいる。

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