ピヴォ×みんサル

衝撃の敗戦。なぜ日本代表はタイ代表に勝つことができなかったのか?

日本代表とタイ代表の国際親善試合2連戦。新潟で行われた第1ラウンドは、タイ代表が制した。平均年齢30.8歳の日本代表に何があったのか? 3年と月日が彼らにある影響を及ぼしていた。

 

▼2016年の時と同じ状況

フットサル日本代表は23日、新潟県長岡市にあるシティホールプラザアオーレ長岡でフットサルタイ代表と国際親善試合に臨んだ。

フットサルW杯コロンビア大会の予選を兼ねたAFCフットサル選手権ウズベキスタン2016に出場していた選手8名を含む平均年齢30.8歳のチームは、2010年12月12日に行われた親善試合以来、9年ぶりにタイに敗れている。

もちろんタイ代表はアジア屈指の強豪国だ。タイ代表のためにタイランド5sをはじめとする国際親善大会を頻繁に開催している。また、チョンブリのオーナーは、昨年からクラブレベルでも世界各国から強豪クラブを集め、ワールドインターコンチネンタルカップを開催。自クラブを強化し続けている。「アジアのフットサルってどこが強いの?」と聞かれれば、「イラン、日本」の次に名前が出てくるのが、このタイだろう。

だが、そんなタイに日本は負けたことがほとんどなかった。今回ばかりは勝てないかと思われたのは、2016年に行われたタイランド5sの時だ。この時、参戦していたタイ、カザフスタン、イランは、いずれもW杯への出場を決め、その登録メンバーで大会に臨んでいた。一方、W杯への道が断たれていた日本は、第1回AFC U-20フットサル選手権に出場するU-20日本代表のチームが中心。そこに現代表でもあるFP皆本晃、FP仁部屋和弘の2人が、名を連ねていたのだ。

タイ代表の監督には、日本を予選敗退させたミゲル・ロドリゴ監督が就任。新監督の下、手探りの状態だったのかもしれないが、U-20日本代表プラス2というべきチームは、この時にタイのフル代表を相手に奮闘して2-2の引き分けに持ち込んだ。

伝統的にタイは日本のことを苦手としており、この試合に負けた後も、日本の実情を知るミゲル監督は別として、タイ代表チームは「やはり日本は強い」という感じで、それほどショックを受けていなかった。

今回、あらためて過去のデータを調べると、これだけ頻繁に試合をしているにもかかわらず、日本がタイに負けたのは2010年12月12日に行われた親善試合以来、実に9年ぶりのことだった。

今回のタイ代表は、この試合までに3回しか練習ができていなかったという。来日したのは、この試合の2日前だ。起用する選手をチョンブリの選手たちに絞り、常に高い強度を保ち続けた側面はあったが、日本は1週間近いトレーニングキャンプで準備をしてきた。ハードなトレーニングキャンプの疲労があったことは確かであっても、シーズン終盤を迎えているタイ代表の選手たちより、悪いコンディションだったとは言えないだろう。

なぜ日本は勝つことができなかったのか。危惧されるのは、チーム内の「緩み」だ。

ブルーノ・ガルシア監督は7月に行われたアリーナ立川立飛でのトレーニングキャンプから代表の常連組と代表の経験の浅い組にチームを分けてきた。ここから始まるW杯へ向けた戦いは、これまで長い時間をともにしてきた選手たちと戦う。そうした決意の表れとも見える。実際にメンバーを見てみると、登録14名が誰になるか、ここ5年間のフットサル日本代表を追いかけている人なら、だれもが同じ名前を挙げられたのではないだろうか。

ブルーノ監督は、トレーニングからハードワークを求める。このアリーナ立川立飛のトレーニングキャンプの際も、「初日の練習は、日本代表の求める水準に達していなかった」と、選手たちにも告げ、より高いレベルでの追い込みを求めた。

そうしたことは、今回の長岡合宿でも起きていたという。だが、同時にブルーノ監督がチームを一喝する時も、やはり常連組には「3年間一緒にやってきたのに、この状態なのか」と、長期間を過ごしていたメリットを匂わせる形になっていた。

昨日のタイ代表との試合を見ても、サードセットは経験がないながらも、タイ代表に懸命に食らいつこうとしていた。ともにスローが武器であるGK関口優志、GKピレス・イゴールがボールを持った時には、その長所を生かそう、カウンターを仕掛けられるようにしようと、素早い守備から攻撃へのトランジションを見せた。一方、先発で出場したセット、セカンドセットは、ブルーノ監督の本来のコンセプトを体現できていなかった。定位置攻撃では動きが単調になり、戦術はほぼピヴォ当てのみ。こんな相手に負けてはいけないと、森岡薫が奮闘していたが、ピヴォへのサポートは遅かった。サイドから崩し、吉川智貴がファー詰めしていれば1点という場面でも、仁部屋和弘が詰めておらずにゴールを奪えず。引いた相手に対して、どのように点を奪うチームになっていくかは、アジア選手権を戦う日本にとって大きなテーマなのだが、その回答は一向に見えなかった。

これは2016年の時と同じ状況だ。当時の日本は最強チームと言われ、強豪国を相手にも好成績を残すようになっていた。実際、W杯に出場することができていたとしたら、良い結果が出ていたかもしれない。

だが、タシュケントで涙を流した8人の選手たちは忘れてしまったのかもしれないが、そのW杯に出場するためには、まずアジアのチームに勝たなければいけないのだ。

試合後には、「これが本番じゃなくて良かった」という声も聴かれた。同じことを思ったが、いちいち歴史に黒星を付けながら、アジアでは全力を尽くさないと勝てないということを思い出さないといけないようでは、日本が真の強豪国になることなど不可能だろう。

すでにタイ代表のプルピス監督は、明日の第2戦では、初戦で使わなかった若手も起用して戦うことを明言している。10月のアジア選手権を前に、大事な「自信」はもらった。もうここからは、無理をする必要がないということだろう。

ここでタイに敗れ、目が覚めたのであれば日本にとっても悪くないのかもしれない。だが、同時に年に一度あるかないかの国内での国際親善試合で、勝たなければいけない相手に勝てなかったことは重い。

 

河合拓(かわい・たく)

2002年に当時、国内唯一のフットサル専門誌Pivo!の編集部に入りフットサルに魅力せられる。その後、2006年のサッカー・ドイツW杯を前に週刊サッカーマガジン編集部に入り、セレッソ大阪、ガンバ大阪、横浜FCなどを担当。2011年から2014年まではゲキサカ編集部で活動。2015年からはフリーランスとなり、2016年に「FutsalX」を立ち上げ、フットサルを中心に取材しながら、サッカー日本代表も取材する。U-18フットサル選手権は第1回大会からすべての大会の取材を続けている。

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