ピヴォ×みんサル

SWH・江川涼が涙を流したその理由とは?【全日本女子フットサル選手権】

全日本女子フットサル選手権決勝は、SWHレディースとバルドラール浦安ラス・ボニータスの対戦。古巣を相手に、SWHレディース・江川涼は立ち向かった。そして、日本一を決めるタイムアップのブザーが鳴った。

 

▼一番負けたくない相手

タイムアップのブザーが鳴った瞬間、SWHレディースの背番号9を背負う女子フットサル日本代表FP江川涼は、その場に泣き崩れた。

「一番負けたくない相手、一番負けてはいけない相手に負けてしまった」

今シーズン開幕前、全国大会出場という目標を叶えるために、江川はバルドラール浦安ラス・ボニータスからSWHレディースへ移籍した。関東のクラブから、関西のクラブへの移籍であり、その決断は生活環境も一変することを意味していた。

SWHレディースは来季からの女子日本リーグへの参入が決まっているものの、今季は関西リーグが主戦場となっている。全国大会のタイトルを獲得できるのは、今回のJFA全日本女子フットサル選手権と、地域チャンピオンズリーグの2つしかない。

だが、SWHレディースの環境面は、決して悪くない。週に4度の練習を行うことができるクラブは、女子日本リーグ参戦クラブと比較しても、むしろ恵まれている。さらに江川だけではなく、アルコイリス神戸から日本代表FP江口未珂も補強したことで、今大会の優勝候補の筆頭に挙げられていた。

SWHレディースは1次ラウンドから、難しいグループに入っていた。同グループには女子日本リーグでも上位争いを繰り広げる福井丸岡ラックが同居していたのだ。ともに2連勝で迎えた第3節、SWHレディースは先制点を許すものの、動じることなく、江川が同点ゴールを決めると、その後2点を加えて3-1で逆転勝利を収め、1次ラウンドを突破した。

大会最終日、準決勝と決勝が同日に行われるなか、SWHレディースは前回大会優勝チームであり女子全国リーグ2連覇中、同じ兵庫県を本拠地にするライバルクラブ、アルコイリス神戸との決戦を迎えた。試合は2-2のまま決着がつかず、PK戦に突入する。江川はSWHレディースの一人目のキッカーを務めて見事に成功。その後、女子日本代表FP網城安奈、江口もPKを決めたSWHレディースは、アルコイリス神戸を破り、2大会連続となる決勝にコマを進めた。

ここまでの道のりは、「女子日本リーグを戦う丸岡に1次ラウンドで勝ち、準決勝ではアルコに勝つ。そして決勝では古巣である浦安に勝つ。女子Fリーグの上位3つをすべて破り、完全優勝を成し遂げたい」と、大会前に江川が描いていたストーリーそのものだった。

しかし、決勝戦は簡単にはいかなかった。SWHレディースと同じ時間に準決勝を戦っていた浦安は、前半3分に先制すると、米川正夫監督が選手たちの疲労が蓄積しない戦い方を選択。SWHレディースとアルコイリス神戸が激闘を繰り広げるのを尻目に、5分以上も早く決勝進出を決めた。

疲労が蓄積していることが明白だったSWHレディースに対し、浦安はハーフウェーラインまで引き、そこからマンツーマンで戦う戦術を採用した。今大会、4人がほぼフラットに並ぶ「クワトロ」をベースに戦っていたSWHレディースは、その守備を前に思うようにボールをゴールに近づけることができない。もともとピヴォの江川も、ゴールから遠い位置でプレーすることが多く、ほとんど浦安の脅威になることはできなかった。

そして後半17分、この試合で唯一のゴールが決まる。SWHレディースのFP坂田睦が自陣でボールをクリアーし損なうと、密集からこぼれたボールを浦安FP平井成美がシュート。ブロックに入った坂田、ゴールを守ったGK山本彩加の手をかすめ、シュートはゴールに決まった。

その後、SWHレディースは反撃を試みたが、最後まで得点を挙げることができずにタイムアップ。全国大会の舞台に立ち、勝つために移籍を選んだ江川は、4年ぶりの全国大会出場を決めた古巣に完封され、涙をのむこととなった。

 

「めっちゃ悔しいです。あのゴールも味方に当たってコースが変わって入ったものだったと思いますし、(浦安が)引いてきて、普段の戦い方をしてこなかったから、まともに戦って負けたという気がしないんです……。もっとそういう相手も圧倒できるように、自分たちのフットサルを磨いて、来年は日本リーグに挑みたいと思います。悔しいけど、逆に燃えています。負けたことを認めて、来年、私たちは日本リーグに参入する挑戦者ですが、表彰式を見て、そこで今回の負けを覆すくらい『本当にやってやるぞ』という気持ちになりました」

数時間前は、決勝進出を果たして歓喜のなかにいたが、大会が終わってみれば失意のどん底に叩き落された。それでも、そこから這い上がることを江川は誓う。

「本当に濃い時間を過ごすことができました。今日1日でいっぱい、いっぱい良い経験をしました。これだから、フットサルは辞められないんですよね」

 

河合拓(かわい・たく)

2002年に当時、国内唯一のフットサル専門誌Pivo!の編集部に入りフットサルに魅力せられる。その後、2006年のサッカー・ドイツW杯を前に週刊サッカーマガジン編集部に入り、セレッソ大阪、ガンバ大阪、横浜FCなどを担当。2011年から2014年まではゲキサカ編集部で活動。2015年からはフリーランスとなり、2016年に「FutsalX」を立ち上げ、フットサルを中心に取材しながら、サッカー日本代表も取材する。U-18フットサル選手権は第1回大会からすべての大会の取材を続けている。

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