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U-15とU-18の違いは?ふたりの指導者のそれぞれの育成論(山本尚希・デウソン神戸×加藤諒典・クラーク記念国際高等学校)【1/3】

2018年10月17日、神戸
(PHOTO,TEXT・佐藤功)

U-15とU-18、3年の差しか違わない。だがこの3年間で人は、体と心に大きな変化が生じる。高校生には高校生の育成があり、中学生には中学生の育成がある。U-18を指導するクラーク記念国際高等学校の加藤諒典さんと、中学生を指導するデウソン神戸U-15の山本尚希さんがそれぞれの育成について、現場に立つふたりの指導者が語り合う。(2018年10月17日収録)

▼自分で考える自主性と規律の大切さ

――加藤さんはU-18世代、山本さんはU-15世代を指導しています。U-18の育て方とU-15の育て方の違いがあると思いますがいかがでしょうか?

加藤 僕は『自分で考える』ですね、何も考えずにはやるなと、まずは。生徒のやりたいことはやらせてあげる方針です。自分は何がしたら楽しいのか、後ろにパスをするのが楽しいのか、1対1で抜くのが楽しいのか、まず自分が楽しめることを一番に考えてほしいです。そこから、それができなかったら次にどうすればいいのか、その選択肢が本当に正しいのかを考えてほしい。アドバイスはするけど、僕からは絶対言いません。同級生や先輩後輩と話し合って、まずはチームの中で自分たちで考えてほしいです。選手は監督の駒ではないので、『自分で考えろ』ですね。そっちの方が伸びると思います。

山本 U-15年代はちょっと違うんですよ。僕も自主性を尊重したいんですけど、この年代はその前の段階が大切だと思うんですよね。足元の技術だったりフットボールのインテリジェンスが将来役に立てばいいと思いますが、集団での生き方だったり理不尽に耐えられる力だったり、そういうことも重要です。ですので、僕は自主性の尊重よりも、決まり事を課させる。自主的に自分に重きを置くことよりも、やらされたことができる、やれと言われたことをこなせる、というところを作っていかないといけないのかなと思っています。だから走らないとだめだよじゃなくて練習で走らせる、毎日腕立てや腹筋をしなさいじゃなくて練習でやらせる、という接し方をしていますね。

加藤 年代で考え方は変わりますよね。ここまではこういうことを中心にやっていくみたいな感じで小学生、中学生、高校生と段階を踏んでどう育てていくかというのもありますし。

山本 ゲームをやりたいなら宿題やってからね、みたいなことですね。自分のやりたいことをやるなら、まずみんなと同じことをやりなさい、それができた上で自分の出し方を覚えなさいという接し方です。そこから自分の判断が増えていければいい、高校生になった時の自主性につながればいいと思いますね。

――試合になると接し方も変わると思いますが、いかがでしょうか?

加藤 試合中も基本的に何も言わないです、プレーが流れている時は。生徒同士で試合中ケンカしていますよ、こうした方がいいとか意見を出し合っています。僕が試合中に外から戦術的なことを言い続けたら、それ待ちになっちゃうので、基本的にはあんまり言わないようにしています。僕が言った時は、自分たちではどうしようもできない状態、という環境を作っています。交代の指示を出したり盛り上げたりするだけで、監督が出たら最後だと。修正は自分たちでなるべく考えながら、という意識を植え付けようとしています。

山本 試合は、試合の前から作り出すもので、試合に入る姿勢とか試合に何を持って入ったかというのが問題になると思うんですよね。なんとなく試合に臨めば、なんとなくの試合になりますし、選手たちがいい準備をして入ってこれてて初めてだと思います。ガンガン指示を出すとか、こうなっているからこうしなさいというのは言わないですけど、自分たちがどう導き出すかというヒントは出します。

加藤 僕も答えは出さないですね。僕が「こうだろ」と言ったら、その先は何もその子たちは進まない。そもそもそれが正しいかはわからないですし、もしかしたら僕よりももっといいアイデアが出たかもしれないですし。

山本 トップカテゴリーやサテライトならこうしろとは言いますけど、中学生や高校生の子に対しては今の状況を客観的に見て何を自分たちが出していくか導き出せるようなヒントを、アプローチをしますよね。その中で、自分たちで導き出したもので勝っていけるようになれば、練習の中で学んできたものを発揮してできたことになりますしね、だから試合中言わなくても練習でやってきたことができれば勝てるだろうし。

▼勝つか負けるか、本人がどう思うか

加藤 正直、僕の中では試合の勝ち負けは気にしていないんですよ。20点獲って勝とうが内容が悪くて次につながらないのでは意味がありませんし、逆に大敗しても内容がよければチャレンジできたし良かったんじゃないかという話をします。内容がよければ勝ちますし、悪ければ負けますけどね。生徒たちがどう思うかの意識なので、接戦で6-7で負けたとかなら僕の中ではOKなんですよ。子供たちがどう思っているのか、笑っているヤツはいないですけどね。

山本 僕も勝つか負けるかは重要なことではないんですよね、僕の満足感でしかないので。でも、子供たちにはこだわらせますよ、選手たち本人にこだわらせます。絶対に勝負事には必ず勝つ、勝ちにいく姿勢を植え付けさせるようにしますよね。子供たちは勝つことは覚えてほしいですし、勝ちに行く姿勢は持ち続けてほしいです。いい内容だったじゃなくて、勝ちなさい、勝つことにこだわりなさい、勝とうとしなさい。勝負は勝つと負けるという字ですから、勝者に回るという概念を常に持ち続けろと、そこの本質を省くなと絶対に言いますね。

プロになりたいのであれば、勝たないとだめなんですよ。勝つことの楽しさとか、勝負事には絶対に負けないという人間になってほしいんですね、何をしても。負けることは何をしてもありえないという人間になってほしい。僕はどんな相手でもどんな試合でも負けるのは、というメンタルでいってほしいですね。

加藤 年代の変わり目は、辞めるタイミングでもあるんですよ。U-18の場合は、辞めずに中学校という義務教育から離れて高校に来ていますので、自分が本当にやりたいという意思を持っていると思います。ですので、自分がやりたいというのであれば自分で考えてやらないと育たないと思っています。だめな試合だったら怒りたくなるじゃないですか。でも、試合が終わったら僕がミーティングする前に、彼らで先にミーティングしていますよ。僕に言われるよりも、同じプレーヤーに怒られた方が響くので、先に生徒たちで話し合ってもらっています。その後に僕が入ってちょっとだけミーティングして、また自分たちでというのが基本スタンスです。

山本 U-15の指導の現場に立って一番重要視しているのは、フットサルじゃないところなんですね。挨拶がちゃんとできるかとか、時間をどういう風に使いながら練習に取り組むとかですね。僕が教えられるのはフットサルですけど、社会に出た時にそれが間違っていないんだよというのを身に着けさせるのが一番重要なのかなと思いながら接してますね。何事も受け入れたくない、自分の気持ちで動いていく思春期の年代ですので、何を言ってもやらないし聞かない時もあります。自分も思春期の頃そうでしたしね。特に中学生にとって重要なことだと思っていますよ。

加藤 僕はサッカーしかやっていなかったんですけど、それはそれでいいかなと思うんですよね。自分の中でフットサルだからこうしないといけないとか、こういう戦術をしないといけないとか、変にフットサルというスポーツに対しての固定概念がそもそもなかったんですよ。だから、バスケとかハンドボールとか見て、こういう攻め方もあるんだなとかこういう守り方もあるんだなとか参考にしながら、うまく落とせているかわからないですけどやっていますね。フットサルとの付き合いが長くなっていっていますけど、でも最初のいらない固定概念を作らないように、その選手が楽しく、僕もずっとボールを蹴ってきてボールを蹴っている時が一番楽しいので、絶対嫌いにならないようにはどうしたらいいのかなと考えています。

山本 僕も競技経験がない指導者ですけど、自分の経験値が上がって自分で学んできたものが少しずつ上がってきています。大幅に変わったのは頭に訴える、考えさせるというのは圧倒的に増やしましたね。足元の技術よりも今なぜこうなったのか、今何を思ってそれをしたのかとか考えることとか、自分の中で導き出すアプローチは圧倒的に増えたと思います。デウソン神戸だと鈴村(拓也)監督という代表歴があってピッチ上での感覚を伝えられる指導者がいますが、自分は理論でしか物事を言えない指導者ですので、教科書のような教え方じゃないですけど理論で説明できるようことを伝えていますね。

 

(『デウソンの下部組織の子がヴィッセル神戸に入ってほしい』育成現場から見たフットサルとサッカーとの関係(山本尚希×加藤諒典)【2/3】)

 

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