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『今、淘汰が始まっている』中古フットサル場を再生する方法(小野晋一郎・ファイブフォーラック取締役)[2/2]【フットサルの輪】

2019年2月25日、某所
(PHOTO,TEXT・佐藤功)

ファイブフォーラックが運営するフットサル場、フットサルリゾートは埼玉県に2店舗ある。そのうちひとつは、いわゆる中古物件だった。恵まれてはいない立地でどのように運営しているのか? 小野晋一郎取締役が『地方』のフットサル場から、フットサルに求められていることを語る。(2019年2月25日収録)
→前編:『人が商品、アナログド真ん中で』フットサルで人生が変わる、5つの『ありがとう』

▼中古フットサル場を再生する方法

――フットサル場であるフットサルリゾートを2つ運営されていますが、それぞれ何年されているのでしょうか。

小野 埼玉県の川越市、鶴ヶ島市でそれぞれ1店舗ずつの合計2店舗を運営しています。川越店は15年前、鶴ヶ島店は12年前から存在しています。鶴ヶ島店は開設11年目からは違う会社に任せたいというオーナーさんの要望で私たちが2年前からチャレンジしています。

――フットサル全体として今は都心中心でアクセスのいいところは好調、アクセスが悪いところは苦戦していると思います。その中で地方である川越店が15年続いた秘訣はどういったことでしょうか?

小野 川越店はしっかり業績を上げています。続いた理由は2つあると分析しております、まずは屋根がついていること。近辺のフットサル場には屋根はほとんどありませんから。もう一つは、弊社の特徴でイベント運営企画の部署があるので、昔からイベント現場に強みがあります。接客・運営・レフェリーの質など、細かいソフト面の日々の積み重ねが、強みになってきたということはあると思います。

――違う店舗から引き継いだ鶴ヶ島店は、川越店よりもさらに都心からのアクセスなどはよくないところだと思います。そこで始めようと思われた理由はどういったことでしょうか?

小野 埼玉県内から店舗を増やしていこうという方針で、条件に合った中で鶴ヶ島店の運営を始めました。その理由はリスクが小さいと思ったのが一点。もう一点は、近隣にフットサルコートがほとんどなかったことです。地方ではありますけど、広いエリアでお客さまをターゲットにできると思いました。地方だからこそ、お客さまに寄り添った弊社のサービス方針は可能性があると思ってチャレンジさせてもらいました。稼働率はまだまだですが、売上高は以前よりも倍近くを更新しています。3年目はそのまま倍にはならないかもしれませんが、30%40%は上げていかなければいけないと思っています。

――昨今、フットサル場の閉店を見受けることもあります。どういったことが原因だと思われますか?

小野 2002年の日韓ワールドカップが終った後、2003年から2007年ぐらいがフットサルバブルと言って、フットサルコートがいっぱいできた時期なんですね。フットサルコートは、地主さんからすると土地を運用する上でリスクは小さいと聞いたことがあります。確かに人工芝を貼ってクラブハウスを建ててしまえばできてしまいます。他の土地の運用に比べれば安い資本で済みますし、運営会社に入ってもらえれば運営できます。そのバブルから10年後や15年後が経った今はまさに契約を更新するタイミングでもありますので、閉店も相次いでいると思います。鶴ヶ島店もその流れで始まったものですしね。

――バブルから10年後ですから、老朽化が進んでいるところも影響があるのでしょうか?

小野 ありますね。私たちはフットサルリゾートという名前ですから、リゾートじゃないといけないんですよ。いい休日を提供をするには、いいところでやってもらわないといけないという考えと勝手な使命感を持っています(笑)。人工芝は5年から7年で張替え時ですし、川越店に関しては屋根の張替えのタイミングもありますので、私たちも今すごくお金が必要とされています。

――鶴ヶ島店は経営を途中から引き継いで運営されています。フットサル場を新規に立ち上げる場合とどういった違いがあるのでしょうか?

小野 自前で持っていると、メンテナンスにかなりの金額がかかります。せっかく利益が出ても、買い替え時に大きなキャッシュが回ってくるので、それを見越して売り上げを積んでいかないといけません。この鶴ヶ島店も始める段階でクラブハウスの内装を全部変えたりコート周りのネットを新調したりしましたが、リフォームですので抑えることはできました。また、顧客も引き継げるメリットもあります。

――屋根の導入も考えたと思いますが、いかがでしょうか?

小野 地域を調べましたが屋根を作ってはいけない立地ということが理由の一つです。第一種低層住居専用地域という基本的に住宅しか建ててはいけない地域でしたので、屋根をつけると建物扱いになってしまうので導入できませんでした。

――難しかったことはどういったことでしょうか?

小野 鶴ヶ島店に関しては天候です。屋根がないので、雨が降ったら売上がなくなってしまう、見込みが立たなくなる。天候によって売り上げが変わったり、台風などの場合はお店がオープンできないこともあります。そうなってしまうと、その日予定していた従業員やアルバイトをカットだったり早上がりにする必要が出来てしまいます。就業時間、お客様はもちろん、従業員の満足度も天候に左右されるのはリスクがあると思います。

 

▼超高齢社会を控えた転換期

――個サルと大会の人気はいかがでしょうか?

小野 個人向けプログラムは好調、大会は横ばいです。個人向けプログラムは毎日開催しています。人数、売上は満足はしていませんがね。大会は過去からの積み重ねもあり、大きな変化なく毎週開催しています。個人的な見解ですが、個人向けプログラムが盛り上がっているのはチームで活動している団体数が減ったところに合致すると思います。長年続いたチームが、環境変化による活動頻度が落ちて解散してということはよくお聞きします。昔のフットサル業界はメインターゲットがチーム向けだったと思いますけど、そのメインターゲットの分母が減ったところがあるんじゃないかと思います。個人からコミュニティを作ってチームに変化させ、チームで大会に出場いただいたら練習しないとねということでコートレンタルをご利用いただけるような、流れるコミュニティーを作っていきたいですね。

――また、フットサル場で何か新しいことをされていますでしょうか?

小野 スタッフ一丸となって議論を重ねています。自社の特徴を生かしながら、私達がテーマに掲げているのは稼働率だと考えています。オープンから閉店まで充足率を何%にしましょう、それを埋める工夫として企画を打ちましょう、自社のイベントを入れましょう、外部業者を入れましょうなど、試行錯誤をしているところですね。

――反省点はどういったところでしょうか。

小野 ビジネスの視野がとても狭いと思っています。従業員皆30代で中でも私が一番のベテランです。私自身入社一社目がこの会社だということもあり、現場が大好き、人が大好きでずっと実務を走りまくっていました。しかし私は自分で立候補したリーダーです。一緒に働いている仲間が幸せなのかなとか、従業員さんの幸せを守れているのかなと立ち返った時に、お給料も拘束時間も仕事のやりがいも、会社として関わってくれた仲間たちを幸せな人生に導いているのかなと、従業員さんの幸福は反省点というか、できていないんじゃないかなと思っています。

――会社としての課題はいかがでしょうか。

小野 市場が小さいですので、売上高も少ない市場ではあります。ですので、フットサルというスポーツは大好きで魅力的ですけど、このままでいけないと危機感を感じています。開発部を発足していますが、2040年に人口が一億人を割って超高齢社会になると言われていますので、現在、私たちのメインターゲットであるお子さまや20代から40代のフットサルをされる層は確実に少なくなっていきます。15年前に川越店ができた時は、人工芝でフットサルができるということだけで価値がありましたが、今は都内の校庭や公園を中心に随分と見受けられるようになり、芝生でスポーツをする、遊ぶという概念は珍しくなくなってきました。地方から人口は少なくなってきますので、地方のフットサルコートはこのままでいいのかなという気持ちがありますね。ターゲットを広げるのか、人工芝というところで違う価値を提供するのか、転換期だと思います。どの業界、会社も同じだとは思いますが、このまま同じサービス続けていくことに大きな危機感を感じています。

――今後、このフットサル業界でどのようなことが大切だとお考えですか?

小野 今フットサル業界は淘汰が始まっていると感じています。私個人的な見解とはなりますがその原因としては、サービス業という業種の中の当たり前のことが当たり前にできていないところから衰退している傾向があると思います。もちろん私達もこれにあてはまりますが、これからお越し頂くお客様に限られた時間の中で充実した時間、空間をご提供する無形サービスであることを理解し、その時間をいかに気持ちよく過ごしていただくかだと私は思います。

また一方でフットサルの魅力はボール1個で人がつながるところだと思いますし、魅力があるからこそこれだけ急激にフットサルコートが広がっていったと思うんですね。そういったところはきちっとして、フットサルというスポーツの長所を客観的に捉えて続けていく。サッカーがある限りフットサルはなくならないと思いますし、求められているものだと思います。人口は減ってボールを蹴る若者は減っている社会の現象は止められませんが、それに付随したサービスを模索し続けていくことは企業としてやらなければいけない使命だと思っています。フットサルを大事にしながら、多岐に渡ったサービスを併用していきたいと思います。

 

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