ピヴォ×みんサル

『フットサルが持つチームの価値を医療へ』医療とスポーツが持つ共通点とは?(池上吾郎・チーム医療研究会『footbarion』)【1/2】

2019年3月5日、吉祥寺
(PHOTO,TEXT・佐藤功)

フットサルと医療には共通点がある。そのことを体験してもらうために、フットサル大会を開催した。チーム医療研究会『footbarion』の池上吾郎さんが、いい医療を提供するために医療に携わる仲間たちとボールを蹴る場を作った理由を語る。(2019年3月5日収録)

▼医療もチームで行う

――フットサルと医療が持つ関係性を考えられたきっかけをお願いします。

池上 『フットサルが持つチームの価値を医療へ』というテーマの中で、スポーツにおけるチーム創りやチームのあり方を体感し、チーム医療へ活用する事が目的です。医療安全では、2000年頃より『チーム医療』という事が注目され各施設が力を入れ取り組んでいます。1999年から2000年に患者取り違え事故、血管内への消毒液誤注入、人工呼吸器の加湿器へのエタノール誤注入、静脈内への内服薬誤注入といった大きな事故が起こりました。このことから、1999年までは事故はあってはならないものであり個人の注意で防げるという見方から、2000年以降はチームや組織全体のあり方を改善しなければ事故は防止できないという見方へ変わりました。いいチームは個々のパフォーマンスを最大限生かし、チームとして最大限の成果を得られると思います。このチームということを考えたとき、スポーツ以外にチームを学ぶのに最適なものはないと思いました。そのスポーツの中で、フットサルを医療者対象に行ったら素敵なチームが生まれるのではないかと期待しこの活動を始めました。

――フットサルから医療を学ぶために、どういったことから始められたのでしょうか?

池上 まずは病院内でフットサルチームを作りました。病院の研修でもチームについて座学や簡単な実習は行なっていましたが、チームって大切だなと思っても、実際に行動レベルに落とし込むことが難しかったんです。コミュニケーションを取る時に上司や部下、先輩や後輩といった権威勾配の問題もあり、なかなか実践するのは難しいと思いました。それだったら全く違うフィールドで、実際にプレーをする中でチームとはどういうことなのかを考える場を作ろうと思い、フットサル大会を開くことにしました。フットサルだと後輩が先輩よりも上手だったりしますので、立場の問題も緩和されますしね。そこから、他病院を集めフットサル大会を開催することになりました。

――初開催はいつでしょうか?

池上  第1回目は2015年です。この時は同じ看護師の藤本泰博さんと自主開催で、企画や運営、写真撮影をし、5施設のチームが参加し てくれました。この1回目が好評だったので2回目も開催できました。3回目からは、ご縁で株式会社Criacaoさんが協力してくれるようになり、企画は僕がして運営はCriacaoという形になることで、8から10チームの規模で開催できるようになりました。現在では東京や神奈川、埼玉などの施設から参加していただけるようになりました。

――どうやって他県に呼びかけることができたのでしょうか?

池上 Criacaoさんではフットサル事業をしていますので、ホームページに載せてもらいそこで募集をかけたり、同じ医療者のご縁で紹介してもらったりしました。医療施設の中に結構フットサルチームがあり活動しているということは聞いていました。他施設と試合したり集まる場として興味を持っていただき様々な施設が参加されています。

――1チーム当たりの人数はどれぐらいでしょうか?

池上 だいたい8人から10人くらい、多いところは2チームに分けて参加いただいたチームもあります。看護師が多くリハビリや医師、事務職や生活支援委員もいて医療を支える人たちが満遍なく参加していただいています。看護学生もいて、実習生が来ていた時あります。女性の参加も3割を占めています。年齢層は20代から30代が多く、40代の方もいらっしゃいました。目標を掲げて声に出すことで色々な方に協賛してもらい、それで人が広がっていくことをこの大会を通じ学び、体感させてもらいました。

▼助け合うための4つの柱

――大会自体は、どのような内容で行われていますか?

池上 まず初めに、参加された方に医療安全の中でのチームの重要性を話します。僕らは医療者として国家資格としていろんなスキルを持っていますが、そのテクニカルスキルに加えてノンテクニカルスキルも身に着けて実行すれば必ずいいチームができ、いい医療ができると信じています。そのチームの価値をフットサルから体験してほしいといった内容です。試合に関しては、初心者の方もいるので特別ルールも用います。リーグ戦をやって順位決定戦をしていますが、その合間他施設との交流もしてほしいのでチーム関係なく分かれてCriacaoさんが『チームビルディング』のアクティビティを行なってくれてます。

――チームビルディングとはどういったものでしょうか?

池上 ゲームみたいな感覚で、集まった人たちが目的や目標達成のために考え協力してチームを作り上げる内容です。例えば、2人で向かい合って座り、つま先をくっつけて手を繋ぎ同時に立つ。それができたら次は4人、次に8人と増えていくエブリバディアップなど様々なことをしています。これは周りを見てみんなで協力しないといけないもので、人数が増えていくと難しくなりできない時が出てきます。その時にどうしたらできるのかをみんなで考えてもらいます。その考える時にチームに必要な基本的な柱として『リーダーシップ 』『コミュニケーション』『相互支援』『状況モニター』があります。この4つの柱は、2005年にアメリカで発表された『TeamSTEPPS』の考えと同じなんですよね。

――TeamSTEPPSとはどういった内容でしょうか?

池上 TeamSTEPPSとは米国のAHRQ (医療研究・品質調査機構)が医療のパフォーマンス向上と患者の安全を高めるために開発したツールです。その中にリーダーシップ、相互支援、状況モニター、コミュニケーションといった4つの柱があります。これは医療安全に携わっている人は知っていますが、まだ日本ではまだ浸透していないように感じます。このTeamSTEPPSを広めていくことも目的でもあります。座学でやってもわかりにくいですし理解しても現場で行うのは難しいですが、フットサルを通じて体感をしていただくことでより理解を深めていただきたいと思っています。

――他のスポーツからチームを学ぶことはできると思います。なぜ、フットサルだったのでしょうか?

池上 フットサルは5人という少人数で、ボール1つあればできます。またフットサルコートもたくさんありますし、人数を集めると1人あたりは少額で済む利点があります。

ですがそれ以上に、僕がずっとサッカーをやってきて、その中で学んできたことがまさに医療のチームに必要なスキルだったということを体験しているということがあります。先ほどのTaemSTEPPSの4つの柱はフットボールの中にもあります。例えば、リーダーだけがリーダーシップを取っているわけではなく、ディフェンスの時は後ろから見ているGKがリーダーシップを取って指示したり、サイドの場合は逆サイドの選手がリーダーシップを取ってラインをコントロールする。それぞれ状況に合わせ、リーダーシップを取る人が変わり出てきます。周りを見て見方や相手の選手やスペースなどの状況を把握することは、まさに状況モニターですよね。うまい選手に対峙した時は2人で助け合うのは相互支援ですし、声を出して意見を出し合ったり声をかけたりするのはコミュニケーションです。医療チームもまさにフットボールと同じだと思ったんですよ。

またフットボールは足でやるスポーツですので、ミスが当たり前のスポーツですよね。足だとボールが来て止めるということも難しくミスが当たり前ですから、ミスをどう防ぐのか、サポートするのかも考えプレーしなければなりません。決して簡単なことをやっているわけではないという意識の中で、ミスを犯した時にどうしたらいいのか。トラップや蹴り方を教えたり、教えてもらった人は、教えてもらったことを素直に受け入れて試合の中で生かそうとするんですよね。そういったことも、医療の現場でも同じです。前述の通り医療安全の見方は変わり事故は起こりうります。人間がやることなのでミスは出ることもありますので、最善を尽くすの中で助け合い個々がどうパフォーマンスを発揮し成長できるのかを考えることが重要、という共通点があると思います。

――フットサルとの相性がいいということですね。

池上 そうですね。チームという視点からいうと医療もスポーツも変わらないと思います。他にも、よくヒーローインタビューで『チームのみんなでがんばった結果です』とか『チームに貢献出来てよかったです』とスポーツ選手が言いますよね。これを医療者が言ったらすごく素敵だなと思います。いい医療をしたからといって、患者さんが必ず助かるという世界ではありません。どれだけいい医療をしても、お亡くなりになる患者さんはいます。でも、残されたご家族が明日につなげられるような医療を提供できれば、それはいい医療だったと思います。そのためには、医者や看護師、検査技師や薬剤師などが、『チームみんなでがんばろう』というような思いの中で協働できる組織がいい医療を提供できると思います。そういった発言が、医療の現場で自然と聞かれるような世界に変えたいなと思っています。

 

(後編:『力を合わせれば成果が出る』社会で生かせるフットボールの価値

 

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