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『1,300万でできる』F2を戦う資金と黒字経営の秘訣(渡邉瞬・Y.S.C.C.横浜GM)【1/2】

2019年3月20日、某所
PHOTO,TEXT・佐藤功

Jリーグでは、各クラブの財務状況が公開されている。そのため、Y.S.C.C.横浜は情報をオープンにすることが当然と捉えていた。Y.S.C.C.横浜・渡邉瞬GMは、Fクラブとしての経営のすべてを公開した。(2019年3月20日収録)

▼組織は常に成長、発展を

――チームの設立について、Y.S.C.C.の前身からお願いします。

渡邉 2002年にファンタースというチームができて、2006年にソールトラップというチームと合併して、2013年にY.S.C.C.フットサル部門として活動をしました。

――なぜ、Y.S.C.C.になったのでしょうか?

渡邉 2006年のファンタースとソールトラップが一つになる時に、僕ともう一人秋元勇太が中心に動いて一緒にやっていこうとなりました。合併初年度、神奈川県リーグ1部に優勝して関東リーグ2部に昇格しました。でも、その彼がガンを患い2ヶ月後ぐらいに亡くなってしまったんです。チームは関東リーグ2部で数年戦ったのですが、2012年に関東2部から県1部に落ちてしまいました。このままだと亡くなった彼と作ったチームが尻つぼみになる、そう思ったんですよね。そこで、フットサルチームは、サッカークラブの中にあった方がいいんじゃないかと思いました。フットサルをやるとサッカーに生きるとか、育成年代にフットサルを教えた方がいいとか、フットサルを経験した人は言いますよね。ならば僕らがそれを実際にやろうと、クラブとして発展していけるような環境に身を置いた方がいいと考えました。いくつかのサッカークラブにお話をさせていただいた中、Y.S.C.C.さんに興味を持っていただけて現在に至ります。ちょうど2011年にY.S.C.C.もフットサル部門を立ち上げていたんですよね。そこに合流して、僕たちが所属していた県リーグ1部で取り組もうということになりました。

――ちょうどY.S.C.C.がJ3に上がる前ですよね。その時から、Fリーグを視野に入れられていたのでしょうか?

渡邉 チームが残るためには、その組織は常に成長、発展をしていかない限り無くなっていくと思うので、上を常に目指すということでFリーグは念頭に置いて話はしました。最初は僕が言っているだけみたいな、何か言っているなという感じでまあいいんじゃないという感じだったと思いますよ。でも僕はどうやったらFリーグに行けるのかと、Fリーグに行くぞと選手も集めたりして意識していました。

▼みんなでなんでもやる。ベンチャーなので

――その神奈川県リーグからF2に去年上がったわけですから、飛び級だったわけですよね。

渡邉 実は2015年から毎年、Fリーグにどうやったら入れますかと御茶ノ水に話をしに行っているんですよね。でも関東1部で自治体支援がといった話だけで終わってしまう。僕たちは県リーグでしたからね。それが17年に行った時、F2ができるとお話をいただき、本気で手を挙げるのであればとお話しさせていただきました。もし他のクラブが手を挙げていたら、僕らはなかったと思います。そこからクラブ内で話をして行こうと決めて、1ヶ月ぐらいで準備しましたよ。

――1ヶ月でですか?

渡邉 そうです、自治体の承認をもらったりしました。それはY.S.C.C.だったからできた、Jリーグのクラブとしてすでに横浜市と関係ができていたからです。他にも強化計画も作りましたね、県リーグで大丈夫かということで。それで実行したのが2018年です。

――その準備は自治体から認可や場所も取ってという部分で、スポンサーはそこからですよね。

渡邉 そうですね。事務的な手続きを1ヶ月、スポンサーはそこからです。

――スポンサーは元々あったのでしょうか?

渡邉 フットサルに関してはまったく、会費で運営していましたので。そこからどうやったら集めれるか、と考えるところから始めましたね。

――ではF2はどれぐらいの予算でできると試算をされていましたか?

渡邉 1,300万ぐらいあれば行けるかなと考えていました。開幕の段階では1,300万がある状況ではありませんでしたが、売上をプラスすればというところまでは行けました。

――開幕当初は何社ぐらいでしたか?

渡邉 そんなにないんですよ。企業数は8社で400万くらいですね。加えて企業さんとの連携した取組みでプラス200万、あと選手が400万ぐらいです。

――選手というのは?

渡邉 選手のトレーニングシャツにロゴが付いていますよね。選手に協賛を集めてもらっています。単価で2万円ぐらいが約200ほど協賛をいただいています。それが小口協賛といったかたちで400万ぐらいですね。でも、トップとセカンドを入れると35人ぐらいいるので、一人あたり10万ちょっとですよ。選手たちには僕がつくった資料を渡して、『自分でお金をくださいと言いに行きなさい』と言いました。それがどうやって資金調達をするかと考えた答えですね。細切れにしないと厳しい、大企業に話を持っていっても反応は良くないですし、通らないですからね。スタートはここから。みんなでなんでもやる。ベンチャーなので。

▼約束を守った黒字経営

――一番コストがかかった部分はどういったことでしょうか?

渡邉 ホーム運営費ですね。330万ですから25%ぐらいです。

――具体的にどういったところでかかったのでしょうか?

渡邉 装飾やパンフレット、ノボリとか150万ぐらいかかっています。あとは、ゲストなどの謝礼が1試合10万なので70万、体育館は年間で70万、1回で10万ぐらいですね。演出で使っているレーザー光などはそんなにかかっていないですよ。

――遠征はバスを自分たちで運転していくわけですよね。さらにホテルの前泊も込みで1,300万だったと。

渡邉 そうです、実際にこの金額で回せます。この数字は勇気が得られると思いますよ。もっと使っているクラブは多いと思いますけど、そんなに必要ないです。コストとしてはリーグ加盟金とホームゲーム運営費、遠征費やトレーニングコスト、選手が売ったチケットのリターンと人件費がかかってます。2018年メインで動いたのスタッフは僕ともう一人の運営メンバーの実質二人です。でも僕たちは一銭ももらっていませんし、もらう気もありません。ボランティアだったりJリーグで運営している方にヘルプで来てもらったり、クラブ代表の吉野(次郎)には実行委員の会議などに行ってもらっています。

――そのコストに対して、収益はいかがでしたか?

渡邉 昨季はスクールとグッズの売上を抜いて1,400万で黒字です。Y.S.C.C.としては、赤字を三期連続出してしまうとJリーグのクラブライセンスが不交付になってしまう可能性があります。ですので、フットサル部門が赤字だとクラブに迷惑をかけてしまう。責任を取るからFリーグに行かせてくれと言ったのは僕ですからね。絶対に黒字、その約束を守ることができました。その分遠征で1泊ひとり2,000円くらいの安宿に泊まったり、やり過ぎたんですけどね(笑)。自分も選手と一緒に泊まりましたよ。でも、収益が1,000万ちょっとの会社だったらそんなに贅沢は普通しないですからね。

――また収益に関わる部分では、チケットの販売にも特徴もあります。

渡邉 選手一人一人の名前が付いたチケットを販売する、そこから買ってもらえた選手に20%を還元するという設定です。選手にもがんばって売ってと言っていますよ(笑)。運営者側の立場からすると、当初は収益に不安しかなくって選手たちにチケットを卸したいぐらいでした(笑)。でも、格闘技の世界ではそういう仕組みなんですよ。選手が運営から卸されたチケットを売って、その利益をファイトマネーにする。そこから、いい選手になったらファイトマネーが設定されるという構造です。ゼロからスタートするんだったらそれぐらいやるべきですけど、そこまでやるのはかわいそうだなということで卸してはいません(笑)。

――文字通りお金が取れる選手、ということですね。

渡邉 それがプロの第一歩だと思います。ボールを蹴るだけじゃなくて、プロである以上はお金があってボールを蹴れるわけですから。たとえばJリーグは元々は企業体という母体がありましたので、最初から形になっているところから始まりました。でも、フットサルはそういった母体がない。形になっていないところから始めるには、みんなですべてをやっていくしないと思います。僕はベンチャー企業を経営していますので、そう考えています。物事を取り組んでいくためにはお金が必要です。その先に、みんなにお金が返ってくるような状況を作るのが僕の仕事ですからね。

後編:『クラブライセンスはですね……』成長過程のY.S.C.C.横浜の現在と未来

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