ピヴォ×みんサル

『知恵を出し合ってやっていけるか』女子フットサルの環境とは?(海野伸明・PANNA futsal)【2/2】

2019年6月11日 府中
(PHOTO,TEXT・佐藤功)

今、フットサルの環境はどうなのか、どう進めばいいのか。現場を見続けてきた女子フットサル応援サイトPANNA futsalの海野伸明さんと、フットサルの今とこれからを語る。(2019年6月11日収録)
→前編:『女子フットサルを応援する役目』府中でショップ運営をするライター兼指導者

 

▼プロクラブになる難しさ

――日本女子フットサルリーグはFリーグの女子部門という組織ですが、女子の全国リーグはどういった環境でしょうか?

海野 2016年にプレ大会として6チームで始まって、2017年から正式なリーグになって7チーム、2018年に8チーム、来季からはさらに3チームが増えて11チームになります。今は一巡しかしないので全7節の一回戦総当たりのセントラル開催で、年間3位以上がプレーオフを戦うレギュレーションです。あと、男子のように全国リーグだけ参加をするのではなく、各チームが所属する地域リーグと兼任で出場している状況です。2020年からは全国リーグのみに参加で、ホーム&アウェー開催という構想だとうかがっています。

――全国リーグができて、競技のレベルに変化はあったのでしょうか?

海野 まだ計り切れないですね、始まったばかりですから効果はわからないところがあります。ただ、地域リーグでやっていた選手や、他の地域の選手が日本リーグのチームに移籍するということがだいぶ増えました。日本リーグのチームが地域リーグのチームに勝てないこともありましたが、今後も少しずつ変わってくると予測はしています。

――チーム数が徐々に増えていますが、設立当社はリーグ自体を様子見のようなところがあったのでしょうか?

海野 ハードルが高いんだと思います。法人化をしてホームタウンを選定して、地域との交流など限られたスタッフで平日に休んで行政とやり取りをするところから始まりますからね。特に母体のないサークルの延長線のようなチームにとっては、その条件をクリアするだけでも大変ですからね。

――ビジネス面でアマチュアからプロになる難しさですね。

海野 お金を生み出すというところですよね。現状では運営を行う、維持をするだけでも難しく、他団体や他社と交渉をするというところにまで手が回らないと思います。お金を生むにはスポンサー収入、入場料、グッズ販売などありますけど、それはいろんな段取りがあって初めてできることですので、そういうことができるのかはよっぽど環境が整わないとできません。スタッフも他に仕事をしながらという方もいますし、現状では選手がプロでできるような環境ではありません。

――男子もお金を生み出すという環境はまだ不十分です。

海野 事業に慣れている人が音頭を取って、かつ時間的な余裕とリソースがないと難しいですよね。男子もうまくいっているとは思えない現状で、男子よりもマーケットが小さい女子で全国リーグをするというのは、選手のためになるのかというのは難しいところなのかなと思いますね。またチームによっては、遠征費など選手が負担をしているところもあります。日曜日に試合をして夜遅く戻ってきて次の日の朝から仕事だと疲弊をしますし、ある程度の金銭的に計算ができないと選手としてやろうと思いづらい状況だと思いますね。

――フットサルを続けたいという気持ちがいつ切れてもおかしくないと思います。

海野 そうですよね。フットサルで収入が得られるわけではないので辞める選手もいますし、若くして現状を見てフットサルはやりたいけどもそこまで真剣にはできないと離れていく選手も見ていますしね。

――年齢を重ねてしまうと就職も難しくなりますから、その判断は理解できますしね。では、今後どのようにしていけばよくなると思いますか?

海野 まずは普及だと思います。男子は高校年代で大会もできたので、フットサルをどうサッカーに生かすなど出てきたと思います。帝京長岡が高校選手権でも結果を出しフットサルのU-18でも結果を出していていいモデルになりつつあると思います。でもまだサッカーの指導者にフットサルのアレルギーのある方もいらっしゃいますし、フットサルを教えられる専門でやっている方が少ないと思います。サッカーの指導者とフットサルの指導者がコミュニケーションを取って、サッカーとフットサルが融合していく歩みがもっとあればいいなと思いますね。専門的になればフットサルを専門にしないとはいけないですが、より広いフットボールという意味で、指導者のコミュニティーのなかでお互いにいい形になればもっと普及につながると思います。もっとオープンマインドにして、いろんな経験を選手にさせてあげることで選択肢が増えて選手の能力が伸びると思います。

――育成についてですが、女子は昨年のユースオリンピックで準優勝をしました。

海野 ユースオリンピックは福井丸岡RUCKの選手が中心となってフットサルの選手がいたということがひとつ。そこにサッカー選手がフットサルをする環境があったことがもうひとつの理由です。京都精華や十文字などサッカーをやっていてフットサルの大会にも出たことがある、フットサル選抜に出たことがある高校生が集まっていました。たまたまサッカーもフットサルもやっている学校や地域があってそこから選ばれた選手がいたということでしたね。ただ、フットサルの育成年代専門のチームは非常に少ないですね。

――では、女子選手はどうやってトップリーグにいくのでしょうか?

海野 高校までサッカーをしてきた選手が多いですね。技術があって何かをやりたいとなった時、知っている人がフットサルをやっていたというところから入ってきた感じです。そのままサッカーを続けていればなでしこや海外にも行けたかもしれないけど、高校で燃え尽きてサッカーを辞めてフットサルを始めたという選手もいます。最初からフットサルのトップ選手になるということでやってきた選手はすごく少ない。どのチームも若い選手は欲しいと思います。でも、若い選手をどうやって取り込んでいこうか各チーム悩まされていますね。若い選手を入れて、将来の主力になっていってもらいたいと考えていると思いますが、育成年代がないのでどうやってチームを存続させるのかというだけでも大変だと思います。

 

▼地の利を生かすビジネスモデル

海野 あと、普及のためには動画配信ですね、絶対必要だと思います。今MyCujooで日本リーグの中継をしていますが、フットサルの世界はこういうもので、あの選手はなでしこリーグに出てた、ユースオリンピックで銀メダルを取った選手なんだと興味を持ってもらえるんじゃないかなと思っています。普及のためにも動画配信で観てもらうことと、育成はどうしても外せないと思いますね。

――普及という点では、我々メディアも関係をしています。私はF2を中心に取材をしていますが、取材先でフットサル専門ではない地元のメディアの方が来ている時もあります。女子はいかがでしょうか?

海野 来るところと来ないところがありますね。

――首都圏は少ないですよね。

海野 そうですね。首都圏では他にネタがありますし、そのシェアが少ないですよね。

――地方の場合ですと、地元の新聞社などが来て街のニュースのひとつとして扱ってくれている印象です。

海野 同じですね。たとえば福井丸岡RUCKが、うまくいっているチームのひとつだと思います。それは、福井県という土地柄によってできたビジネスモデルかなと思います。福井にはプロ野球はありませんし、JリーグもBリーグもありませんので、唯一の日本一を狙えるチームとして地元のメディアがしっかりと応援をしてくれています。ユニフォームには福井放送と福井銀行のロゴが入っていますし、情報番組に出たりしているんですよね。学生の選手ばかりでその彼女たちが大人たちと戦う、その頑張っている姿というのは万人受けしやすく引き付けるコンテンツなのかなと思いますね。

――フットサルの知識がなくても共感できる、ご当地の有名人に近い感覚ですね。

海野 そういうことかもしれないですね。これが福井ではなく他の県だったらどうなっていたかはわからないですけども、地の利を生かしていると思います。支援を受けやすいところほどチャンスはあるのかなと思いますね。今、大都市圏のチームが多いですけども、練り直しじゃないですけどもそもそものチームを立ち上げる時にどこにするのかも必要なのかもしれません。普通だと起業をするのであればマーケティングだったりしますが、そういったバックボーンがないなかでやっています。しかも選手が自らやっている状況です。丸岡の例を見て、他のチームがどう思うかということが重要ですね。福井だからできたと思うのか、知恵を絞ってやったと思うのか。でもやるにはリソースも必要ですので、難しいですね。

――限られたリソースでその地域に何を還元できるのか、支援を受けるにはまずそこからだと思います。

海野 そうですね。今、フットサルの現状は決してよくないと思います。縮小しているというのは、選手の登録数が減っていると数字で出ています。その増える方法をみんなで考えたいですね、たとえば、2020年のワールドカップ招致がダメでしたけども、来ても来なくても知恵を出し合ってやっていけるかだと思います。Bリーグが同じアリーナスポーツで毎回満員になっている現状と、今のFリーグの現状を見るとビジネスとして考えれらているのか、誰かがしてくれる、スポンサーからもらえるとかではなく、いい仕組みをみんなで考えられないかなと思いますね。ただ現状を知っているので、選手にどれだけ負担になるのかというところもあるので難しい。選手たちが頑張っているのはわかっているので、スタッフやリーグを運営する関係者の人たちが知恵を絞ってやっていけるか、というところがすごく大事ですね。

 

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